【簿記1級】材料費計算ポイント解説(1/3)購入原価の範囲

【簿記1級】材料費計算ポイント解説(13)購入原価の範囲

こんにちは、カリタです!

材料費計算は2016年以降の簿記1級で、

  • 工業簿記第147回 問1①、②
  • 工業簿記第150回 問1
  • 工業簿記第153回 問1、2(おすすめ)
  • 工業簿記第156回 第1問、第2問(おすすめ)

に出題されています。

商工会議所のホームページで公表されている材料費計算の試験範囲は下記の通りです。

  1. 材料費の分類
  2. 材料関係の証ひょうおよび帳簿
  3. 購入原価(副費の予定計算を含む)
  4. 消費量の計算
  5. 消費単価の計算(予定価格による計算を含む)
  6. 期末棚卸高の計算
    • 棚卸減耗費の引当金処理

一見すると試験範囲が広い様に思いますが、

簿記1級の試験範囲は簿記2級の試験範囲も含む

ため、簿記1級の工業簿記・原価計算では主に

  • 材料の購入原価に含める範囲
  • 材料消費額(消費単価×消費量)の計算
  • 材料費の予定配賦と原価差異

理解しているかがポイントになります。

この記事では、

  • 材料の購入原価に含める範囲

について解説しています。

それぞれおさえておきましょう。

費目別計算を動画で解説しています!

購入原価に含める範囲

材料費の購入原価に含める範囲は原則、

  1. 購入代価に引取費用を加算した金額
  2. 購入代価に材料副費(引取費用+内部副費)を加算した金額

上記の通りです。

引取費用は、外部副費とも言います。

材料副費は、

  • 外部副費
  • 内部副費

を合わせたものであるため、

引取費用・外部副費は原則購入代価に含まれ
内部副費は問題文の指示により購入代価に含むかを判断

することになります。

外部副費(引取費用)

外部副費(引取費用)とは、

材料買入に要した引取費用

を言います。

材料が届くまでに発生した費用などのイメージ

です。

例えば、下記の様な費用です。

  • 買入手数料:材料購入に関する仲介手数料など
  • 引取運賃:材料が届くまでにかかる運賃など
  • 荷役費:輸送手段(船や飛行機など)への荷物の積込み、積卸し作業など
  • 保険料:輸送時にかける保険料など
  • 関税:輸入した材料にかかる関税

内部副費

内部副費とは、

材料が届いた後、使用出来る状態になるまでに発生した費用などのイメージ

です。例えば、

  • 購入事務
  • 検収
  • 整理
  • 選別
  • 手入
  • 保管

等に要した費用を言います。

簿記1級対策

外部副費・内部副費

簿記1級対策のために、

  • 外部副費
  • 内部副費

を判断できるようにしておくこと。そして

過去問を見て問題文の指示の出し方にも慣れておくこと

が大切です。

簿記1級の計算問題では、問題文に購入代価の他に

  • 引取費用
  • 材料副費

との記載があることがあります。

この場合、問題文に指示がなければ、

全て材料費の購入原価に含める

ことになります。

引取費用(外部副費)については原則、購入原価に含まれ

そして、

内部副費は問題文の指示により購入代価に含むかを判断

することになりますが、

材料副費が、

  • 外部副費
  • 内部副費

にわかれていない場合には、

外部副費を購入原価として処理しないことができない

ため、

全額を購入原価に含めざるを得ない

と言うことです。

また、下記の様な指示があることがあります。

  • 外部副費のみを購入代価に加えた実際購入原価を計算
  • 内部副費に関しては、その実際発生額を間接経費として処理している

上記記載は、方法②の例外処理、

購入代価+外部副費

で計算することが求められています。

棚卸減耗費の処理

材料に関して生ずる費用で間接経費として処理する費用の代表に棚卸減耗費があります。

原価計算基準によると材料費とは、

物品の消費によって生ずる原価

とされています。

棚卸減耗費とは、

帳簿上の残高数量と実際棚卸数量の差により判明した在庫の減少に伴う費用

を言います。

つまり、棚卸減耗費は、

物品の消費によって生ずる原価ではないため材料費ではない

と言うことです。

そして、棚卸減耗費は、

正常な棚卸減耗費
 間接経費(又は直接経費)
異常な棚卸減耗費
 営業外費用又は特別損失

として処理されます。

簿記1級の問題を解く際に、特に、

差異分析をする際に棚卸減耗費を当期材料消費高に含めない

様に注意が必要です。

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