【簿記1級】材料費計算ポイント解説(3/3)材料費の予定配賦と原価差異

【簿記1級】材料費計算ポイント解説(33)材料費の予定配賦と原価差異

こんにちは、カリタです!

前回に引き続き材料費について解説していきます。

簿記1級の工業簿記・原価計算では主に

  • 材料の購入原価に含める範囲
  • 材料消費額(消費単価×消費量)の計算
  • 材料費の予定配賦と原価差異

理解しているかがポイントになります。

この記事では、

  • 材料費の予定配賦と原価差異

について解説しています。

材料費の予定配賦

予定価格を使う理由

原価計算基準において材料の消費価格は

必要ある場合には予定価格等をもって計算することができる

とされていますが、私自身学生時代に企業が予定価格を使う意味がよくわかりませんでした。

予定価格を使うと原価差異の処理が必要になるため

二度手間になるのではないか

と思っていたためです。

しかし、社会人になって、多くの会社の決算の早期化等の業務で生の原価計算に触れてみると予定価格を使う理由が良くわかりました。

それは、日系企業の悪いところですが

最終的な価格が決まる前に取引が始まることが多々ある

と言うことです。

それは、今までの実績からおおよその値段(や値引等)はわかるのですが、実際の価格はふたを開けて見ないとわからないという状態です。

このような場合、実際の価格を待っていたらいつまで経っても先に進めません。

恐らくこの価格になるであろうという予定した価格で進めていかざるを得ないと言うことです。

予定価格を使うタイミング

予定価格を使うポイントには

  • 材料の受入
  • 材料の消費
  • 材料副費の記帳

の3つあります。

材料の受入時タイミング

材料を購入した際に、

予定価格×実際購入量=材料予定購入額

として計算する方法です。

この場合、

材料実際購入額と材料予定購入額との差額が材料受入価格差異

となります。

材料の購入単価を予定で計算し、

材料費勘定のすべてを予定価格で記帳する

ことになります。

材料の消費タイミング

材料を消費した際に、

予定価格×実際消費量=材料予定消費額

として計算する方法です。

この場合、

材料実際消費額と材料予定消費額との差額が材料消費価格差異

となります。

材料の消費単価を予定で計算し、

実際消費額を計算する前に仕掛品や製品原価の計算を進める

ことができます。

材料副費の記帳タイミング

材料副費の一部又は全部を購入・消費した際に、

予定額を使って記帳

することがあります。

この場合、

材料副費の配賦額と材料副費実際額との差額が材料副費配賦差異

となります。

材料費の原価差異

簿記1級では原価差異に関して、

  • 有利差異・不利差異
  • 借方差異・貸方差異

の形式で答えを求められます。

そのため、どういう場合に

  • 有利差異・不利差異
  • 借方差異・貸方差異

と呼言うのかを確実に理解しておく必要があります。

有利差異・不利差異を理解するために2つのポイントがあります。

1. 予定は実際に調整する必要がある

予定価格はあくまで「仮」の価格のため、

最終的には真実の数字である実際価格へと調整する必要がある

と言うことです。

予定価格は、

  • 原価管理
  • 記帳の簡略化・迅速化

のために行われますが、

予定価格計算した原価は原価の実際発生額と一致していません。

最終的な財務諸表に表示される

  • 棚卸資産
  • 売上原価

等の合計額を原価の実際発生額合計と一致させる

ため、原価差異の処理が必要になると言うことです。

2. 原価差異は結果として残るもの

簿記1級や会計士試験では問題文の指示に従い原価差異を計算しますが、

原価差異は計算して出すものではなく勘定記入の結果として残るもの

と言うことです。つまり、

  • 価格差異
  • 数量差異

といった差異の計算式が先にあるわけではなく、

予定配賦額と原価の実際発生額を記帳した結果を原価差異として取り扱う

と言うことです。

例えば、材料を100個購入するとします。

購入時に材料の価格が決まっていない場合、予定価格として1個あたり100円として進めるとします。

この時、下記の様に仕訳します。

借方金額貸方金額
材料費10,000買掛金10,000

次に、製造のために材料100個すべてを払出したとします。

借方金額貸方金額
仕掛品10,000材料費10,000

そして、後日、仕入価格が決まり1個あたり110円となったとします。

その際、買掛金の金額を正しい金額に修正するため、100円と110円の差額分追加で下記仕訳を行います。

借方金額貸方金額
材料費1,000買掛金1,000

以上の結果として、

借方に原価差異が残高として残る

ことになります。

そして、このように、

借方に残高が残ることを借方差異

と言います。

見込んでいた予定額よりも実際額の方が大きく
材料費の過少計上であった

と言えます。そして、

材料費勘定の借方に残った残高を

  • 売上原価
  • 期末仕掛品
  • 期末製品

等に追加で計上する必要

があります。

費用・在庫が増える処理になるため、

不利差異

とも言います。

反対に、

見込んでいた予定額よりも実際額の方が小さく
材料費の過大計上であった

場合には、材料費勘定の

貸方に残高が残ってしまうため貸方差異

といい、費用・在庫が減る処理を行うため、

有利差異

とも言います。

原価差異の処理方法

原価差異の処理は原価差異の種類によって異なります。

材料消費価格差異

材料消費価格差異は、

売上原価として処理

します。

原価差異を把握後、

製品別計算の再計算を行うことは大変

なため、再計算を行わず売上原価として処理することを認めています。

材料受入価格差異

材料受入価格差異は、

材料払出高と期末在庫に配賦

します。

材料受入価格差異に関しては、消費価格差異と異なり

原価差異が材料費勘定の入り口で生じている

ため、差異全額を売上原価として認めてしまうと、

期末材料に配賦される分まで売上原価として処理されてしまう

ため、材料払出高と期末在庫への配賦が求められていると言うことです。

材料副費配賦差異

材料副費配賦差異は、

売上原価として処理

します。

本来、材料受入価格差異と同じく原価差異が材料費勘定の入り口で生じているため材料払出高と期末在庫に配賦すべき様に思いますが、

材料副費配賦差異に関しては、

金額的重要性低い

ため、売上原価として処理することが認められていると言うことです。

不適当な差異

なお、予定価格等が不適当なため、比較的多額の原価差異が生ずる場合には、

  • 個別原価計算の場合
    当年度の売上原価と期末におけるたな卸資産に指図書別に配賦
    当年度の売上原価と期末におけるたな卸資産に科目別に配賦
  • 総合原価計算の場合
    当年度の売上原価と期末におけるたな卸資産に科目別に配賦

とされています。

あまり試験的には重要ではないため、取り急ぎ、

予定価格等が不適当な場合には、

予定価格による計算が認められないため再計算する

様なイメージを持っておく程度でも良いと思います。

最後に

材料費は、工業簿記の基本として、

  • 理論問題
  • 計算問題

ともに出題されます。

是非、過去問で練習してみてください。

一度で解けなくても問題ありません。

工業簿記の基本になりますので、何度も解いて必ずマスターしてください。

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