こんにちは、カリタです!
下記、商工会議所のホームページで公表されている総合原価計算の試験範囲
- 総合原価計算の意義
- 総合原価計算の種類
- 単純総合原価計算の方法と記帳
- 等級別総合原価計算の方法と記帳
- 組別総合原価計算の方法と記帳
- 総合原価計算における完成品総合原価と期末仕掛品原価の計算
- 平均法
- (修正)先入先出法・純粋先入先出法
- 工程別総合原価計算
- 工程別総合原価計算の意義と目的
- 全部原価要素工程別総合原価計算の方法と記帳(累加法・非累加法)
- 加工費工程別総合原価計算の方法と記帳
- 正常仕損費と正常減損費の処理(度外視法・非度外視法)
- 異常仕損費と異常減損費の処理
- 副産物の処理と評価
- 連産品の計算
の内、この記事では、
- 正常仕損費と正常減損費の処理(度外視法・非度外視法)
- 異常仕損費と異常減損費の処理
について解説します。
仕損費と減損費とは
仕損費とは、一般的に、
製造に失敗したことにかかる費用のこと
です。
例えば、コーヒー作った後、10mlこぼした場合、
そのこぼした10mlに関する費用が仕損費
と言うことです。
減損とは、
製造過程でモノが滅失すること
です。
例えば、コーヒーを飲もうと200mlの水を沸騰させたところ最終的に190mlとなっていた場合、
その作る途中で蒸発した10mlは減損
と言うことです。
追加でお金を支払っているわけではなく、
投入量と完成量との差異
とも考えられます。
仕損費と減損費の処理
仕損費と減損費は、それらが
- 正常
- 異常
かによって処理が異なります。
・正常
経営の正常な状態
・異常
経営における異常な状態
ある意味で主観的な判断基準であるため、基本的には、
- 正常仕損・正常減損
- 異常仕損・異常減損
であるかについては、問題文に指示があります。
正常仕損費と正常減損費の処理
正常仕損費・正常減損費の処理は、原則として、特別に
- 仕損費
- 減損費
の費目を設けず、これをその期の
- 完成品
- 期末仕掛品
に負担させます。
つまり、
- 仕損費
- 減損費
の様に独立した費用として取り扱うのではなく、
- 完成品
- 期末仕掛品
の原価に含めるということです。
そして、完成品・期末仕掛品の原価に含めるための方法として、
- 度外視法
- 非度外視法
があります。
度外視法
度外視とは無視すると言う意味です。
度外視法とは、言葉の通り、
仕損費・減損費を無視する方法
です。
つまり、完成品と期末仕掛品双方が仕損・減損を負担する場合、仕損費・減損費の計算を無視することで、
結果として仕損費・減損費を完成品・期末仕掛品に負担させる方法
と言うことです。
非度外視法
非度外視法とは、
仕損費・減損費を無視しない方法
です。一旦、
- 完成品
- 期末仕掛品
- 仕損費
- 減損費
を計算した上で、
仕損費・減損費をそれぞれの加工進捗に応じて
完成品・期末仕掛品に負担させます。この際、
仕損・減損が特定の時点で発生した場合
⇒完成品と期末仕掛品の数量で負担させる
仕損・減損が平均的に発生した場合
⇒完成品数量と期末仕掛品換算量で負担させる
ことに注意が必要です。
簿記1級の問題を解く際のポイントとして、
どの時点の仕損・減損かを確認する必要
があります。
- 仕損・減損がどのように生じたのか
- 仕損・減損が生じた時点
- 期末仕掛品の加工進捗度
については問題を解く際によく確認しましょう。
異常仕損費と異常減損費の処理
原価計算基準上、原価は、
正常な状態のもとにおける経営活動を前提として把握された価値の消費
であり、
異常な状態を原因とする価値の減少を含まない。
とされています。
異常仕損費・異常減損費は、
異常な状態を原因とする価値の減少
であるため、原価計算基準上の原価には参入できません。
原価計算基準上の原価は、
- 製造原価
- 販売費
- 一般管理費
とされていることから、
- 営業外費用
- 特別損失
として処理されることになります。
次回も引き続き、総合原価計算の個別論点について解説していきます。