【簿記1級】部門別計算の基本

【簿記1級】部門別計算の基本

こんにちは、カリタです!

部門別計算は2016年以降の簿記1級で、

  • 工業簿記第146回
  • 工業簿記第152回 問1
  • 工業簿記第158回 第1問

に出題されている重要論点です。

商工会議所のホームページで公表されている試験範囲は下記の通りです。

  1. 部門別計算の意義と目的
  2. 原価部門の設定
  3. 部門個別費と部門共通費
  4. 部門費の集計
  5. 補助部門費の製造部門への配賦
    • 直接配賦法
    • 相互配賦法、純粋の相互配賦法
    • 階梯式配賦法
    • 複数基準配賦法
    • 実際配賦と予定配賦

この記事では、

  • 部門別計算の意義と目的
  • 原価部門の設定

について解説します。

動画解説始めました!

部門別計算とは

部門別計算の意義

部門別計算とは、費目別計算で集計した

  • 間接材料費
  • 間接労務費
  • 間接経費

を、部門別に分類集計する手続きのことです。

部門別計算の目的

部門別計算を行わなくても、

  • 製造間接費の予定配賦額
  • 製造間接費の実際発生額

を計算することができるため、

部門別計算をしなくても製品原価の計算はできます。

しかし、部門別計算を行わないと、

例えばA部門、B部門の

  • 製造間接費の予定配賦額
  • 製造間接費の実際発生額

をそれぞれ把握することができません。

部門別計算を行うことにより、

  • A部門の予定配賦額と実際発生額
  • B部門の予定配賦額と実際発生額

を把握することができるようになります。つまり、

部門単位で原価差異を分析するために部門別計算が必要

と言うことです。

そして、部門別に差異分析を行うことにより、

  • 原価に関する責任の所存が明らかになる
  • 正確な製造間接費予定配賦が行える

ため、部門別計算は、

  • 原価管理
  • 「正確な」製品原価の計算

を目的として行われます。

部門別計算の流れ

部門別計算の流れは下記の通りです。

  1. 原価部門の設定
  2. 部門費の集計
  3. 補助部門費の製造部門への配賦

この記事では原価部門の設定について解説します。

原価部門の設定については、

  • 部門別計算の基本をおさえる
  • 理論問題の対策

のために下記の解説を一読して欲しいですが、計算問題では基本的に原価部門の設定についての

問題文に指示がある

ためあまり重要ではありません。

(例、製造部門として〇〇部、〇〇部があり、この他に〇〇部を補助部門として認識している等)

長いと感じたら下記の記事に進んでも問題ありません。

  • 部門費の集計
  • 補助部門費の製造部門への配賦
詳しくはこちら

原価部門の設定

部門別計算を行うためには、先ず、

部門を設定する必要

があります。

部門とは、

  • 原価管理(機能・責任区分)
  • 製品原価の正確性

の観点から製造間接費を分類集計した区分を言います。

先ず、部門は大きく、

  • 製造(直接製造作業を行う部門)
  • 補助(補助作業を行う部門)

の2種類の部門に区分します。

製造部門

製造部門は、例えば、

  • 鋳造部門
  • 鍛造部門
  • 機械加工部門
  • 組立部門

の様に、

  • 製品の種類別
  • 製品生成の段階
  • 製造活動の種類別

等にしたがって、これを各種の部門又は工程に分けます。

補助部門

補助部門は、

  • 補助経営部門
  • 工場管理部門

とに分けます。

補助経営部門とは、製品の生産に直接関与しない、

自己の製品又は用役を製造部門に提供する部門

のことで、例えば、

  • 動力部
  • 修繕部
  • 運搬部
  • 工具製作部
  • 検査部

等を言います。

工場管理部門とは、

管理的機能を行なう部門

のことで、例えば、

  • 材料部
  • 労務部
  • 企画部
  • 試験研究部
  • 工場事務部

等を言います。

最後に

部門と工程の違い

部門と工程の違いは理論問題・計算問題としても出題されませんが、

部門別計算をイメージするために大切なポイント

のため是非おさえておいてほしいです。

たこ焼きの原価計算について記載した際、

関連記事

たこ焼きを作る工程を

  • 第一工程(生地を混ぜる)
  • 第二工程(生地を焼く)

と工程別総合原価計算として仮定しましたが

  • 「混ぜる」
  • 「焼く」

といった工程は、実は、

部門別計算の部門としても設定することが出来ます。

つまり、製造部門としての

  • 「混ぜる部門」
  • 「焼く部門」

と言うことです。しかし、

必ずしも工程と部門が一致する訳ではありません。

例えば、たこ焼きを作る工程を細かくわけて

第二工程の終点又は第三工程の始点でタコやその他具材を投入する場合

工程は下記の様になります。

  • 第一工程(生地を混ぜる)
  • 第二工程(生地を半分焼く)
  • 第三工程(生地を残り半分焼く)

この場合も、製造部門として

  • 「混ぜる部門」
  • 「焼く部門」

を設定することはできますが、

混ぜる部門は、

  • 第一工程

焼く部門は

  • 第二工程
  • 第三工程

で作業をすることになるため、

部門と工程が一致しません。

つまり、

  • 作業の順番で区切りるのが工程
  • 作業単位で区切るのが部門

と言うことです。

部門費の集計については次の記事をご参照ください。

次の解説に進む
工業簿記・原価計算のまとめページに戻る