こんにちは、カリタです!
直接原価計算は2016年以降の簿記1級で、
- 原価計算第150回 第1問
- 原価計算第152回
- 原価計算第153回 第1問
- 原価計算第158回 第1問問2
に出題されている重要論点です。
この記事では、
- 直接原価計算の基本
- 直接原価計算の簿記1級での出題
について解説します。
直接原価計算とは
簿記1級における直接原価計算とは、
変動費のみで原価を計算する
ことです。
直接原価計算と全部原価計算
よく学校では、
全部原価計算の反対が直接原価計算
と教えられることが多いです。
私も学生時代にそのように教えて頂きました。
確かに、直接原価計算は、
- 経営管理
- 経営分析
の問題として出題されるため、
そのように考えても試験で点を落とす可能性は低い
ですが、必ずしも正しい理解とは言えないように思います。
原価計算基準上、原価を集計する範囲によって
- 全部原価
- 部分原価
に分類します。
全部原価とは、
全部の製造原価又は、
全部の製造原価と販売費及び一般管理費
を集計したものを言います。そして、
部分原価とは、言葉の通り、
全部原価のうち一部のみ
を集計したものを言います。
直接原価計算では、確かに、
期中は変動費のみで計算する
ため、全部原価のうち一部のみで計算しますが、総合原価計算における直接原価計算では、
年度末には固定費を期末仕掛品、期末製品と完成品原価に配賦する
します。
つまり、最終的には全部の製造原価を直接原価計算の範囲として取り扱っていることから、
直接原価計算も全部原価計算
であるとも言えると思います。
直接原価計算の簿記1級での出題
直接原価計算を財務会計の範囲内で適用すると、
直接費のみの製品別計算の後、固定費の配賦計算も行う必要があり二度手間
になります。
そのため、直接原価計算が実際原価計算として
製品原価の計算問題として出題されることは基本的にありません。
直接原価計算の変動費のみで製品原価の計算を行う考え方は、
- CVP分析
- 予算編成
- 事業部の業績測定
との相性が良いため、
- 経営管理
- 経営分析
のために簿外で使用されることが多いです。
そのため、簿記1級においても直接原価計算は、
- CVP分析
- 予算編成
- 事業部の業績測定
の問題として出題されることが多いです。
なぜ直接原価計算を使うのか
では、なぜ、
- CVP分析
- 予算編成
- 事業部の業績測定
に直接原価計算を使用するのでしょうか。
それは、直接原価計算以外の
- 標準原価計算
- 実際原価計算の予定配賦
には、
- 標準配賦率
- 予定配賦率
の中に、固定費率が含まれているため、
結果として固定費を数量で計算する
ことになってしまうためです。
例えば、下記の条件の様な場合、
- 変動原価予算総額 2,500,000円
- 固定原価予算総額 3,000,000円
- 基準操業度 10,000個
- 実際完成・販売量 8,000個
予算総額÷基準操業度による標準原価は下記の通りです。
・標準変動費率
250円=2,500,000円÷10,000個
・標準固定費率
300円=3,000,000円÷10,000個
標準原価×数量で計算される、売上原価は下記の通りになります。
・売上原価
変)2,000,000円=250円×8,000個
固)2,400,000円=300円×8,000個
4,400,000円=2,000,000円+2,400,00円
つまり、上記の様に、
- 基準操業度
- 完成品数量
が異なる場合、
- 固定費の予算額
- 売上原価に含まれる固定費額
が変わってしまうと言う問題が生じています。
では、同じ条件で、
直接標準原価計算
により計算した場合にはどうなるか見ていきましょう。
- 変動原価予算総額 2,500,000円
- 固定原価予算総額 3,000,000円
- 基準操業度 10,000個
- 実際完成・販売量 8,000個
予算総額÷基準操業度による標準原価は下記の通りです。
・標準原価
250円=2,500,000円÷10,000個
標準原価×数量で計算される、売上原価は下記の通りになります。
2,000,000円=250円×8,000円
そして、固定費額を期末の仕掛品および製品と当年度の売上品とに配賦します。
3,000,000円
(予算のため予算額を使用する)
つまり、売上原価は下記の金額になります。
・売上原価
5,000,000円=変動費2,000,000円+固定費3,000,000円
つまり、直接原価計算では、
- 基準操業度
- 完成品数量
が異なる場合でも、
- 固定費の予算額
- 売上原価に含まれる固定費額
が変わらないため、CVP分析、予算編成や事業部の業績測定と相性が良いと言うことです。
簿記1級対策
- CVP分析
- 予算編成
- 事業部の業績測定
は原価計算基準で定められたものではなく、各社、
- 経営管理
- 経営分析
のために行うものです。
明確なルールがなく問題文の指示に従う必要
があります。
そのためには、過去問や問題集を解き、間違えたところを
- 標準原価計算や直接原価計算の知識的な部分
- 問題文の指示を読む部分
に分析し、知識的な部分はテキストや参考書で補い。
問題文の指示の指示を読む部分に関しては、
なぜ問題文の指示がわからなかったのかについて考え今後の対策を立てること
が効果的です。
とにかく色々な種類の問題を解いて初見の問題に慣れることが大切です。