こんにちは、カリタです!
個別原価計算は2016年以降の簿記1級で、
- 工業簿記第147回 問1
に出題されている論点です。
商工会議所のホームページで公表されている試験範囲は下記の通りです。
- 個別原価計算の意義
- 製造指図書と原価計算表
- 個別原価計算の方法と記帳
- 仕損費の計算
- 補修指図書を発行する場合
- 代品の製造指図書を発行する場合
- 補修または代品の指図書を発行しない場合
- 仕損費の処理
- 当該指図書に賦課する方法
- 間接費とし、仕損の発生部門に賦課する方法
- 作業屑の処理
基本的に、簿記1級の個別原価計算では、
- 仕掛品と完成品の区分
- 仕損と補修指図書の関係
- 作業くずの評価と処理
主に上記の3つを理解しているかがポイントになります。
以下、解説していきます。
個別原価計算とは
個別原価計算とは、
種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態に適用する原価計算
です。
個別原価計算では基本的に、指図書をベースに原価の計算が進められます。
指図書とは、
飲食店でいうとオーダーを受けた料理のレシピ
にあたるものです。
色々な料理のオーダーがあり、
オーダー単位で原価計算を計算したい時
に個別原価計算が適しています。
総合原価計算との違い
個別原価計算と総合原価計算の違いとして、
・個別原価計算
オーダー単位で個別に原価計算をするのに適した原価計算方法
・総合原価計算
一つのレシピで大量生産するのに適した原価計算方法
と言えます。
例えば、たこ焼き10人分のオーダーが入ったとします。
個別原価計算では、
10人分別々に原価を計算
しますが、
総合原価計算では、
10人分の原価をまとめて計算
します。
どちらで計算しても原価の総額は同じです。
しかし、総合原価計算では、
10人それぞれの正確な原価はわかりません。
とは言え、10人それぞれの原価を知る必要が無ければ、
総合原価計算で計算した方が手間がかからない
と言うことです。
個別原価計算の計算
個別原価計算にあっては、
指図書単位で個別的に直接費と間接費を集計し原価を計算
します。
原価の分類に関しては下記の記事に詳しく記載されております。
不安がある人は是非ご確認ください。
簿記1級対策
続いて、簿記1級で特に問われる3つの論点の解説を進めていきます。
1. 仕掛品と完成品の区分
個別原価計算の問題で論点となりやすいのは、
仕掛品か完成品の区分
です。
例えば、製造指図書に、
数量100個
と記載されているとします。
製品を1つ1つ完成させていき50個完成した時点
では、
・50個の仕掛品
・100個の仕掛品
のどちらが正しいでしょうか。
答えの前に、
そもそも仕掛品とは何か
について考えてみましょう。
仕掛品についてWikipediaでは下記の様に記載しています。
仕掛品(しかかりひん、英: work in process, in-process inventory)とは、工業簿記または企業会計において、製造途中にある製品のこと。
出典:仕掛品 - Wikipedia
仕掛品とは、
製造途中にあるもの
と言えます。
個別原価計算では、
製造指図書単位で製造を行います。
そのため、
製造指図書単位で製造が完了するまでは製造途中にある
と言えます。
したがって、上記の例では、
100個の仕掛品
となります。
2. 仕損と補修指図書の関係
仕損品の補修、仕損による代品の製作等に関して、
追加で発行される指図書のことを補修指図書
と言います。
仕損費の計算および処理に関しては、原価計算基準に定められています。
原文を確認しておくことが望ましいですが、最低限下記の点は抑えておきましょう。
- 製造指図書と補修指図書を合計する
- 補修指図書は発行しないこともできる(この場合、製造指図書内で補修にかかった費用を集計する)
- 仕損品がお金に変えられるのであれば補修費用のマイナスとして処理する
3. 作業くずの評価と処理
作業くずとは、
端材のようなスクラップのこと
を指します。
「くず」と記載されていますが、
処分価値のある物
です。
売ってお金になるのであれば、
そのお金をどのように処理するのかが問題
になりそうです。
この点、原価計算基準では下記の様に定めています。
・原則
発生した部門費から控除
・例外
発生した製造指図書の直接材料費又は製造原価から控除
つまり、作業くずの処分は、
費用のマイナスとして処理する
ことになります。
次に、作業くずの評価に関して簡単に言うと、
作業くずを処分することによって得られる利益(又は費用の節約)の純額で評価する
ことになります。
つまり、作業くずに関しては、
作業くずを処分することによって得られる利益を費用のマイナスとして処理する
と言うことです。
最後に
個別原価計算は、文字通り個別に原価計算を行うため、
問題文の指示に従って計算を進めていくことが求められます。
そのため、簿記1級対策のためには、
- テキストを読み、個別原価計算の流れをおさえる
- 問題文の指示に従って問題が解けるように過去問で演習する
ことが大切です。
また、2022年度から個別原価計算の試験範囲に、
作業くずの処理が追加
されました。
※2022年度試験から適用する予定の暫定版、2022年1月時点
今後、作業くずを含む、個別原価計算が出題される可能性があります。
しっかりとおさえておきましょう。