この記事でわかること
- 簿記1級の問題形式は?
- 何を勉強したらいいの?
- 合格のために一番大切なことは?
簿記1級合格のために何をしたらいいの?
というお悩みはないでしょうか?
簿記1級・全経上級ホルダーが、あなたのお悩みを解決できる記事を書きました。
日商簿記1級ではどんな問題が出題されるの?
日商簿記1級の試験科目は、
- 商業簿記
- 会計学
- 工業簿記
- 原価計算
の計4科目です。
試験時間は、
- 商業簿記・会計学 90分
- 工業簿記・原価計算 90分
の計3時間です。つまり、
1科目当たりの試験時間は45分以内に解く必要
があります。
商業簿記
問題の傾向
問題用紙の枚数は2.5枚程度
- 0.5から1枚分に解答上の注意と資料(決算整理前残高試算表等)
- 1から1.5枚分に論点(決算整理事項等)が10から15程度
が主な出題の傾向です。
解答の傾向
解答用紙は1枚程度
- 解答用紙全てに決算整理後残高試算表や貸借対照表・損益計算書の数値を穴埋めする形式
又は、
- 解答用紙の半分に決算整理後残高試算表や貸借対照表・損益計算書の数値の穴埋め
- 残り半分に仕訳の記載や決算整理前残高試算表の数値の穴埋めを行う形式
が主な解答の傾向です。
対策
45分の試験時間に対して出題される論点数は10から15です。つまり、
1問当たりにかける時間が3分から5分未満
となります。
論点ごとの難易度は高くないため、
勉強している実感が一番得られやすい
科目です。
一方で、日商簿記1級の中で一番出題範囲も広く、
実は勉強時間に対して得られる点数が低い
のが特徴です。
合格するための勉強の順番としては下記がおすすめです。
- 商業簿記の基本的なこと・頻出論点
- 他の試験科目の完成度を高める
- 他にやることが無くなった後、商業簿記の頻出論点以外を勉強
商業簿記はすべての基本になるため、先ずは商業簿記の基礎固めをしておきたいです。
一方で、勉強時間と点数の費用対効果が低いため、他の試験科目(会計学・工業簿記・原価計算)の方が優先順位が高いです。
他の科目でやることが無くなった後、合格出来る確率をあげるために商業簿記の頻出論点以外も勉強する方針が合理的だと思います。
合格に必要なこと
- 決算整理前残高試算表と決算整理後残高試算表、貸借対照表・損益計算書の繋がりを理解していること
- 連結等の頻出論点に関する会計処理を理解していること
- 頻出論点の仕訳を理解していること
会計学
問題の傾向
問題用紙の枚数は2枚から2.5枚程度
主な出題傾向は、
- 大問3問構成(たまに2問構成、5問構成あり)
です。
解答の傾向
解答用紙は1枚程度
- 空欄に語句を記述する問題
- 語群から選択する問題
- 正誤問題
- 財務諸表を作成する問題
- 計算結果や計算過程の数値を答えさせる問題等
と主な解答のバリエーションに富んでいます。
対策
おおよその出題される論点数は3論点程度と狭く深く出題されます。つまり、
まったく点数が取れない論点があると、1/3(約33.3%)の点数を失う
ことになります。
ちなみに簿記1級の合格基準は7割です。
つまり、33.3%失うと残りの論点が満点でも合格点に足りず、他の科目でカバーする必要があります。
会計学は、商業簿記よりも深く出題されるため商業簿記の勉強は会計学の対策にあまり有効ではありません。一方で、
会計学の勉強では商業簿記の勉強をカバーできます。
つまり、会計学を勉強した副産物として商業簿記の部分点を稼いでいく方針が有効だと思います。
優先順位は、
会計学>商業簿記
です。
合格に必要なこと
- 頻出論点の対策をしていること
- 仕訳の際に、理論に基づいた仕訳(簿記の原則や、何故資産なのか負債なのか等)を心掛けること
- すべての仕訳が、会計基準に基づいているということを認識し、会計基準や用語の意味に興味を持つこと
工業簿記
問題の傾向
問題用紙の枚数は2枚程度
大問1問構成か大問2問構成で出題される傾向にあります。
解答の傾向
解答用紙は1枚程度
- 理論や仕訳
- 勘定記入
- 製品単位原価や予算差異・操業度差異
に関する問題が出題されています。
対策
出題される論点数が極端に少ないため、
勉強していない論点が出題されると一気に足きりリスクが高くなる
科目です。一方で、
試験範囲が一番狭いため、しっかりと対策をして得意科目にしておくと合格できる確率が高まります。
全ての科目の中で優先順位が一番高い
科目です。
合格に必要なこと
- 原価計算基準に記載されている原価計算の手順を理解していること
- 過去問や問題集を繰り返し解くこと
原価計算
問題の傾向
問題用紙の枚数は2枚から2.5枚程度
- 大問2問構成
で出題される傾向にあります。
解答の傾向
解答用紙は1枚程度
主に計算、語群から選択する問題に対する解答ですが、たまに記述が求められこともあります。
対策
原価計算では例えば予算に関する問題等、
明確な基準のない分野
からも出題されます。
明確な基準のない分野からの出題の場合には、
前提条件が記載されていないと答えようがない
ため問題文に
問題を解くための前提条件が記載
されています。つまり、
試験中に一番注意深く問題文を読む必要のある
科目と言えます。
そのため、学校の授業やテキストを勉強しても、
問題文が正確に読み取れないと点数に繋がらず、原価計算を難しい・苦手と思う人も多い
です。
テキストで解き方を確認するよりも問題文を注意深く読む練習が大切
です。
合格に必要なこと
- 問題文をよく読み、何となくで解かないこと
- 過去問に慣れておくこと
- 色んなパターンの問題を解き、初見の問題に慣れておくこと
もっと詳しく
合格のために一番大切なこと
簿記1級には合格点があり合格を目指すのであれば、
合格点を取るための勉強
をしていく必要があります。
勉強をしていると楽しくなりどんどんと深く勉強していきたい気持ちが出てきますが、先ずは、
満点ではなく合格点を取る勉強を意識合格点以上の勉強は合格点を取れるようになった後
に行った方が良いと思います。
勉強とは合格点を取るために、
出題される問題に関して「出来ない」を「出来る」に変えていく作業
のことを言います。
そして、「出来ない」を「出来る」に変えるには、先ずは、
何が「出来ない」のかを知る必要
があります。そして、そのためには、
テストをする必要
があります。
確かにテストによって、目に見える形で自分が出来ていないことや自分のミスを受け止めることは精神的にも非常に辛いところがあります。
しかしここで自分が出来ていないことや自分のミスを真摯に受け止めることが出来ないと、「出来ない」を認めることが出来ずに、有効な勉強を進めることが出来ません。
つまり、合格のために一番大切なことは
わからないところ、間違えたところから逃げない
と言うことです。
参考記事