こんにちは、カリタです!
原価の理論問題は2016年以降の簿記1級で、
- 第147回 工業簿記 問3
- 第149回 原価計算 問題2問1
に出題されています。
また、原価は計算問題の基本となることから重要な論点です。
商工会議所のホームページで公表されている試験範囲は下記の通りです。
- 原価の意義
- 原価の一般概念
- 支出原価と機会原価
- 原価計算基準の原価
- 原価要素、種類、態様
- 材料費、労務費、経費
- 直接費と間接費
- 製造原価、販売費、一般管理費、総原価
- 実際原価、予定原価(見積原価、標準原価)
- 変動費と固定費
- 管理可能費と管理不能費
- 製造原価と期間原価
- 全部原価と直接(変動)原価
- 特殊原価概念
- 非原価項目
この記事では、
- 原価の意義
- 原価の一般概念
- 支出原価と機会原価
- 原価計算基準の原価
- 原価要素、種類、態様
- 製造原価、販売費、一般管理費、総原価
- 実際原価、予定原価(見積原価、標準原価)
- 製造原価と期間原価
- 全部原価と直接(変動)原価
- 特殊原価概念
- 非原価項目
について解説します。
原価の意義
原価の一般概念
原価とは、日常生活でも耳にすることの多い言葉です。
ここで、あらためて「原価」とは何かについて考えてみましょう。
原価について、Wikipediaでは下記の様に記載しています。
原価(げんか)とは、会計の用語で、特定の目的を達成するために消費される経済的資源を貨幣で測定したものである。
つまり、一般的に原価とは、
何かをするためにかかる経済的資源(人・物等)の消費を金額で表したもの
と言えます。
- 売上原価:商品を売るために係る原価
- 製造原価:製品を製造するために係る原価
の様に、原価は、
何するかによってその範囲が変わる
と言えます。
支出原価と機会原価
支出原価
支出原価とは、売上原価・製造原価等の様に、
実際にお金がかかるもの
を言います。
支出原価の考え方は、基本的に、
商業簿記・会計学で使用する原価と同じ考え方
です。
機会原価
機会原価とは、
例えばA案B案のどちらも選択できる場合、
A案を採用しなかったら得られない利益をB案を採用するための原価
をいいます。
A案を採用していたら得られた利益は、
机上の空論であり実際にはお金の支出はありません
が、A案とB案のどちらかを意思決定をする際には非常に重要な考え方です。
原価の諸概念
原価は、どのような計算をするのかによって、原価に対する考え方が変わります。
実際原価と標準原価
原価計算上、原価とは、
価格×量=原価
で表されます。
ここで、実際原価とは、
実際消費量をもって計算した原価
を言います。
つまり、実際価格×実際消費量=実際原価だけでなく、
予定価格や見積価格を使用していたとしても、
実際消費量を使用する限りそれは実際原価となります。
標準原価とは、
標準消費量かつ標準価格をもって計算した原価
を言います。
式にすると下記の通りです。
標準価格×標準消費量=標準原価
つまり、消費量を実際消費量とするか標準消費量とするかにより、
- 実際原価
- 標準原価
であるかが変わってきます。
この考え方は、後々、
- 原価差異の分析
- 標準原価計算
を行う上で重要になってきます。
全部原価と部分原価
原価を集計する範囲によって、
- 全部原価
- 部分原価
とに区分されます。
全部原価とは、
全部の製造原価又は、
全部の製造原価と販売費及び一般管理費
を集計したものを言います。
決算書を作成するために使用する原価は全部の製造原価です。
つまり、一般的な原価の計算は全部原価計算により行われていると言えます。
部分原価とは、言葉の通り、
全部原価のうち一部のみ
を集計したものを言います。
原価計算基準の原価
最後に、原価計算基準の原価を解説するために原価の全体像について解説させてください。
原価の全体像は下記の図の通りです。
原価計算基準上、
- 差額原価
- 機会原価
- 付加原価
等の
特殊原価は原価計算基準に含めない
とされています。
そして、原価計算上、
- 経営目的に関連しない価値の減少
- 異常な状態を原因とする価値の減少
- 税法上とくに認められている損失算入項目
- その他の利益剰余金に課する項目
の様な、
非原価項目は原価に算入しない
としています。そして、
- 特殊原価
- 非原価項目
を除いた原価を総原価
といい、総原価を
- 製造原価
- 期間原価
区別することができます。
さらに、製造原価を製品原価の計算のために
- 直接材料費
- 直接労務費
- 直接経費
- 製造間接費
などに分類することができます。
製造原価の分類については次の記事で詳しく解説していきます。
原価の記事一覧