【簿記1級】工業簿記の本質

簿記1級講座工業簿記の本質

こんな方におすすめ

  • 工業簿記とは何か知りたい人
  • 工業簿記と商業簿記の違いを知りたい人
  • 簿記1級合格を目指す人

 工業経営の特質

工業経営の特質を知るためには、そもそも商業・工業とは何かをおさえる必要があります。

商業

商業(しょうぎょう、英: commerce)とは、財やサービスなどの商品を所有している人または存在している場所と、必要としている人または必要としている場所を結びつけることにより利益を得る産業または経済活動である。

ウィキペディア(Wikipedia) - 商業

商業では主として仕入れた商品の販売やサービスを提供します。

工業

工業(こうぎょう、英語: industry)は、原材料を加工して製品を造る(つくる)こと、および、製品を造ることにかかわる諸事項のことである。
ウィキペディア(Wikipedia) - 工業

工業では主として製品を製造して販売します。

従って、製品を製造することが工業経営の特質といえます。

 

工業経営における責任センター

責任センターとは、経営学や責任会計で用いられる用語で、特定の意思決定権を持つ集計単位を言います。

工場で製造した製品を本社の営業部門が販売する会社の場合、

会社にとって工場は売上をあげないコストセンターであると言えます。

コストセンターとは経営学用語の一つ。企業が経営される内において、コストは集計されるものの利益は集計されない部門のことを言う。

ウィキペディア(Wikipedia) - コストセンター

その様な会社においては、工場で働く人の仕事を評価する際に、

売上高や会社全体の最終の利益で評価してしまうと、

販売量の増減などの工場の仕事と関係が無い部分が工場の評価に含まれてしまい、

工場の仕事を適切に評価出来なくなってしまいます。

 

そのため、コストセンターやプロフィットセンターの様に責任センターをわけて、

意思決定権に応じてコストや収益を集計し、業績を評価していくことが適切であると言えます。

また、工場内においても部門や事業部によって、購買、製造、品質などに責任センターをわけた方が適切な場合もあります。

 

工業簿記の特色

工業簿記とは?

日本商工会議所のWebページによると、

「工業簿記」は、企業内部での部門別や製品別の材料・燃料・人力などの資源の投入を記録・計算する技能で、経営管理に必須の知識です。

出典:日本商工会議所Webサイト

とされています。

と言われても、あまりピンと来る人は少ないと思います。下記の商業簿記との関係で詳しく見ていきましょう。

商業簿記との関係

工業簿記と商業簿記の関係

商業簿記であれば、1つの商品を100円で購入した時、

借方 金額 貸方 金額
商品 100円 現金 100円

という仕訳が思い浮かぶと思います。

では、商品を作った場合にはどうなるでしょうか?

材料の購入、賃金の支払い、工場の減価償却費など経費が生じるため単純に上記の様な仕訳を起こすことが出来ません。

 

例えるのであれば、商業簿記でいう、

1つの商品を100円で購入した

の部分を工業簿記で記録・計算します。

製造業などで、商業簿記でいう仕入の部分を担うのが工業簿記と言えます。

 

工業簿記と原価計算

製造業などでは財務諸表の作成のために工業簿記が必要となりますが、

正確に棚卸資産や売上原価を記録するには、原価計算をする必要があります。

 

商業簿記で言うところの仕入の様に、材料費、賃金、工場経費という勘定科目のまま、貸借対照表や損益計算書に記載されることはありません。

財務諸表には、棚卸資産や売上原価として計上されます。

棚卸資産や売上原価の金額を正しく計算するために、原価計算が求められます。

なお、原価計算は工業簿記のための原価計算のみならず、経営意思決定のためにも行われます。

 

原価計算基準

原価計算基準(げんかけいさんきじゅん)とは、1962年に大蔵省企業会計審議会が中間報告として公表した会計基準であり、原価計算に関する実践規範となっている。

ウィキペディア(Wikipedia) - 原価計算基準

強制力のあるルールという訳ではありませんが、適切な原価計算の実施規範として設定されたものです。

ちょっと一言

自己流の計算方法の場合には、対外的に適切であると説明するのが大変ですが、適切とされている原価計算の基準通り計算を行えば、適切であると証明しやすいため、実務では各社この基準に則って原価計算を行っています。

 

工業簿記の種類

工業簿記には下記の2種類があります。

  • 原価計算を行う完全工業簿記
  • 原価計算を行わない商的商業簿記

どちらも、原価計算基準が出来る前の時代(昭和三十七年以前)の話しなので重要度はありません。

完全工業簿記

正しく原価計算を行い記帳する方法です。

ちょっと一言

簿記を勉強するうえでは基本的にすべて完全工業簿記が前提になっているので特段意識する必要はありません。

商的商業簿記

商的工業簿記(しょうてきこうぎょうぼき)とは、商業簿記の手法で製造業の取引を記帳する方法である。材料・仕掛品・製品などの棚卸資産につき、決算時に棚卸高を計算し(期首棚卸高+当期受入高-期末棚卸高)という式に当てはめて材料消費高・製品完成高・売上原価などを計算する。完全工業簿記に対して不完全工業簿記といわれ、通称「丼勘定」とも呼ばれる。

ウィキペディア(Wikipedia) - 商的商業簿記

原価計算を行わず、商業簿記の三分法の様に記帳する方法です。

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