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カリタブログ

【簿記1級】部門別計算 Vol.4 補助部門費の製造部門への配賦方法(1)

こんにちは、カリタです!

この記事では、製造部門費の製造部門への配賦方法

  • 直接配賦法
  • 相互配賦法(簡便法)
  • 相互配賦法(連立方程式法)
  • 階梯(かいてい)式配賦法

について解説していきます。

なお、

  • 相互配賦法(簡便法)
  • 相互配賦法(連立方程式法)

は、簿記1級工業簿記第146回、

  • 階梯式配賦法

は、簿記1級工業簿記第158回

で出題されている重要論点です。

動画解説始めました!

補助部門費の配賦方法

補助部門には、例えば、

  • 動力部
  • 修繕部

があります。

そして、動力が故障した場合、修繕部門が動力を修理することは考えられます。つまり、

補助部門は他の補助部門も補助している

と言うことです。

そして、補助部門費を製造部門へ配賦する際に、

補助部門費相互間の負担をどの程度考慮するかの観点

から下記の4つの補助部門費の配賦方法があります。

  • 直接配賦法
  • 相互配賦法(簡便法)
  • 相互配賦法(連立方程式法)
  • 階梯式配賦法

では、下記の具体的な数字を使い、配賦方法を見ていきましょう。

  • 補助部門の配賦のためのデータ
(作業時間)第1製造部第2製造部第1補助部第2補助部
第1補助部20201010
第2補助部101055
  • 部門別製造間接費の当月実際発生額
第1製造部第2製造部第1補助部第2補助部
部門個別費350550120100
部門共通費800600220100
部門費
(合計)
1,1501,150340200

直接配賦法

直接配賦法とは、

補助部門相互間の負担を一切無視する方法

です。

具体例

直接配賦法で使用する資料は下記の部分です。

  • 補助部門の配賦のためのデータ
(作業時間)第1製造部第2製造部第1補助部第2補助部
第1補助部20201010
第2補助部101055
  • 部門別製造間接費の当月実際発生額
第1製造部第2製造部第1補助部第2補助部
部門個別費350550120100
部門共通費800600220100
部門費
(合計)
1,1501,150340200

そして、上記、補助部門費を

第1補助部第2補助部
部門費340200

下記の基準で製造部門へ配賦します。

(作業時間)第1製造部第2製造部
第1補助部2020
第2補助部1010

第1補助部門費配賦額

第1補助部門費340円を

  • 第1製造部に対する作業時間
  • 第2製造部に対する作業時間

の合計40時間を基準に配賦します。

  • 第1製造部へ:第1補助部門費340円×(20時間/40時間)=170円
  • 第2製造部へ:第1補助部門費340円×(20時間/40時間)=170円

第2補助部門費配賦額

第2補助部門費200円も

  • 第1製造部に対する作業時間
  • 第2製造部に対する作業時間

の合計20時間を基準に配賦します。

  • 第2補助部門費200円×(10時間/20時間)=100円
  • 第2補助部門費200円×(10時間/20時間)=100円

集計

上記を集計すると下記の様になります。

第1製造部第2製造部
部門費1,1501,150
第1補助部門費配賦額170170
第2補助部門費配賦額100100
合計額1,4201,420

相互配賦法(簡便法)

相互配賦法(簡便法)とは、

補助部門相互間の負担を一度だけ考慮する方法

です。つまり、

  • 1回目は他の補助部門にも配賦
  • 2回目は直接配賦法により配賦

します。

問題を解く際の注意点

相互配賦法(簡便法)について、製造工業原価計算要網には、

「其の用役を享けたる多の補助部門及製造部門に用役の程度に應じて配賦」

と記載されています。

何がポイントかというと、

問題文の指示が無い限り

1回目の配賦の際に、

補助部門が自分に対して用役を提供した自家消費分については無視

すると言うことです。

具体例

相互配賦法(簡便法)で使用する資料は下記の部分です。

  • 補助部門の配賦のためのデータ
(作業時間)第1製造部第2製造部第1補助部第2補助部
第1補助部20201010
第2補助部101055
  • 部門別製造間接費の当月実際発生額
第1製造部第2製造部第1補助部第2補助部
部門個別費350550120100
部門共通費800600220100
部門費
(合計)
1,1501,150340200

1回目の配賦

相互配賦法(簡便法)では、

1回目のみ補助部門費を他の補助部門へ配賦

します。

第1補助部門費の配賦

第1補助部門費340円を

  • 第1製造部に対する作業時間
  • 第2製造部に対する作業時間
  • 第2補助部に対する作業時間

の合計50時間を基準に配賦します。

第1補助部門から第1補助部門へは配賦しません。

  • 第1補助部門費340円×(20時間/50時間)=136円
  • 第1補助部門費340円×(20時間/50時間)=136円
  • 第1補助部門費340円×(10時間/50時間)=68円

第2補助部門費の配賦

第2補助部門費200円も

  • 第1製造部
  • 第2製造部
  • 第1補助部

の合計25時間を基準に配賦します。

第2補助部門から第2補助部門へは配賦しません。

  • 第2補助部門費200円×(10時間/25時間)=80円
  • 第2補助部門費200円×(10時間/25時間)=80円
  • 第1補助部門費200円×(5時間/25時間)=40円

2回目の配賦

相互配賦法(簡便法)では、

1回目のみ補助部門費を他の補助部門へ配賦

するため、

2回目は直接配賦法と同じ方法により配賦

します。

つまり、1回目の配賦で

  • 第1補助部から第2補助部へ
  • 第2補助部から第1補助部へ

配賦した下記の補助部門費を

第1補助部第2補助部
部門費6840

下記の基準で製造部門へ配賦します。

(作業時間)第1製造部第2製造部
第1補助部2020
第2補助部1010

第1補助部門費の配賦

  • 第1補助部門費68円×(20時間/40時間)=34円
  • 第1補助部門費68円×(20時間/40時間)=34円

第2補助部門費の配賦

  • 第1補助部門費40円×(10時間/20時間)=20円
  • 第1補助部門費40円×(10時間/20時間)=20円

集計

上記を集計すると下記の様になります。

第1製造部第2製造部
部門費1,1501,150
第1補助部門費配賦額
(1回目)
136136
第1補助部門費配賦額
(2回目)
3434
第2補助部門費配賦額
(1回目)
8080
第2補助部門費配賦額
(2回目)
2020
合計額1,4201,420

相互配賦法(連立方程式法)

相互配賦法(連立方程式法)とは、

補助部門相互間の負担を連立方程式を用いて考慮する方法

です。

問題を解く際の注意点

  • 直接配賦法
  • 相互配賦法(簡便法)
  • 階梯式配賦法

は、製造工業原価計算要綱(昭和17年)で規定されている配賦方法ですが、

相互配賦法(連立方程式法)は、

  • 製造工業原価計算要綱
  • 原価計算基準

に記載されておらず、

明文の規定があるわけではない

ため、

問題を解く際には問題文の指示に注意する必要

があります。特に、

補助部門が自分に対して用役を提供した自家消費の取り扱い

ついては問題文の指示を見落とさない様に注意が必要です。

階梯式配賦法

階梯式配賦法とは、

他の補助部門への用役提供量の多い順に負担させていく方法

です。

下記の手順により配賦されます。

  1. 補助部門相互間に授受する用役を比較して、最も多くの部門へ用役を提供するものの順位付けを行う
  2. 多くの部門へ用役を提供する順に、下位の補助部門費は上位の補助部門に負担させない方法で配賦します。

よくテキストには、

  • 第一判定として、用役提供数
  • 第二判定として、部門費額

として順位付けをするように書かれています。

私も学生時代にそのように教えて頂きました。

しかし、原価計算要網を確認したところ、

「補助部門相互間に享受する用役を比較して最も多数の部門へ用役を提供するものの順位」

と書かれており、明文の規定として、

  • 第一判定として、用役提供数
  • 第二判定として、部門費額

の判定基準は見つけられませんでした。

とは言え、階梯式配賦法が過去に出題された工業簿記第158回では、

明らかに順位付けがわかるような資料

で出題されていたため、とりあえず、

市販のテキスト通り覚えておいても損はない

様に思います。

  • 単一基準配賦法と複数基準配賦法
  • 実際配賦と予定配賦

については次の記事をご参照ください。

https://karitablog.net/boki1/it-9-5/
次の解説に進む
https://karitablog.net/boki1/i-summary/
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