【簿記1級】原価計算の種類と形態

簿記一級講座原価計算の種類と形態

こんな方におすすめ

  • 原価計算の基本について知りたい人
  • 簿記1級合格を目指す人

原価計算制度と特殊原価調査

広い意味での原価の計算には,原価計算制度以外に,経営の基本計画および予算編成における選択的事項の決定に必要な特殊の原価たとえば差額原価,機会原価,付加原価等を,随時に統計的,技術的に調査測定することも含まれる。しかしかかる特殊原価調査は,制度としての原価計算の範囲外に属するものとして,この基準に含めない。

出典:原価計算基準 第一章 二 原価計算制度

とされており、原価計算基準では、特殊原価調査目的で行われる原価計算はこの基準に含めないとしています。

原価計算基準において定められている原価計算制度は大別すると、

  • 実際原価計算制度
  • 標準原価計算制度

の2つに分類されます。

 

実際原価計算と標準原価計算

簿記一級講座原価計算制度

実際原価計算

実際原価計算制度は,製品の実際原価を計算し,これを財務会計の主要帳簿に組み入れ,製品原価の計算と財務会計とが,実際原価をもって有機的に結合する原価計算制度である。

出典:原価計算基準 第一章 二 原価計算制度

実際原価とは,財貨の実際消費量をもって計算した原価をいう。ただし,その実際消費量は,経営の正常な状態を前提とするものであり,したがって,異常な状態を原因とする異常な消費量は,実際原価の計算においてもこれを実際消費量と解さないものとする。

実際原価は,厳密には実際の取得価格をもって計算した原価の実際発生額であるが,原価を予定価格等をもって計算しても,消費量を実際によって計算する限り,それは実際原価の計算である。ここに予定価格とは,将来の一定期間における実際の取得価格を予想することによって定めた価格をいう

出典:原価計算基準 第一章 四 (一)実際原価と標準原価

実際原価計算は、最もよく使われている原則的な原価計算です。

狭義の実際原価計算

実際消費量 × 実際の取得価格 = 製品原価

として原価計算を行います。

計算された製品原価は、そのまま商業簿記の売上原価や棚卸資産の価額として使用できます。

広義の原価計算

実際消費量 × 実際の取得価格又は予定価格等

実際消費量を使用している限り実際原価計算とする考え方です。

簿記一級では、材料副費の価格を予定価格とするケースの問題が出題されることはありますが、予定価格と実際の取得価格との差異はないケースがほとんどで、特段意識する必要はありません。

 

標準原価計算

標準原価計算制度は,製品の標準原価を計算し,これを財務会計の主要帳簿に組み入れ,製品原価の計算と財務会計とが,標準原価をもって有機的に結合する原価計算制度である。

出典:原価計算基準 第一章 二 原価計算制度

標準原価とは,財貨の消費量を科学的,統計的調査に基づいて能率の尺度となるように予定し,かつ,予定価格又は正常価格をもって計算した原価をいう。この場合,能率の尺度としての標準とは,その標準が適用される期間において達成されるべき原価の目標を意味する。

標準原価計算制度において用いられる標準原価は,現実的標準原価又は正常原価である。

出典:原価計算基準 第一章 四 (一)実際原価と標準原価

標準消費量 × 標準価格 = 標準原価

として計算する方法です。

用いられる標準価格には

  • 現実的標準価格
  • 正常原価

の2種類あります。

現実的標準原価とは,良好な能率のもとにおいて,その達成が期待されうる標準原価をいい,通常生ずると認められる程度の減損,仕損,遊休時間等の余裕率を含む原価であり,かつ,比較的短期における予定操業度および予定価格を前提として決定され,これら諸条件の変化に伴い,しばしば改訂される標準原価である。

出典:原価計算基準 第一章 四 (一)実際原価と標準原価

正常原価とは,経営における異常な状態を排除し,経営活動に関する比較的長期にわたる過去の実際数値を統計的に平準化し,これに将来にすう勢を加味した正常能率,正常操業度および正常価格に基づいて決定される原価をいう。

出典:原価計算基準 第一章 四 (一)実際原価と標準原価

ちょっと一言

原価計算基準で定められている標準原価計算(現実的標準原価並びに正常原価)は、原価管理目的よりの原価計算ではなく、財務目的で用いられる実際原価計算の代用としての原価計算と言えます。

 

全部原価計算と直接原価計算

簿記一級講座原価の範囲

全部原価と部分原価

原価は,集計される原価の範囲によって,全部原価と部分原価とに区別される。全部原価とは,一定の給付に対して生ずる全部の製造原価又はこれに販売費および一般管理費を加えて集計したものをいい,部分原価とは,そのうち一部分のみを集計したものをいう。
部分原価は,計算目的によって各種のものを計算することができるが,最も重要な部分原価は,変動直接費および変動間接費のみを集計した直接原価(変動原価)である。

出典:原価計算基準 第一章 四 (三)全部原価と部分原価

全部原価と部分原価は、どこまでを原価の範囲に含めるのかという話です。

全部原価

  • 全部の製造原価 又は、
  • 全部の製造原価に販売費および一般管理費を加えたもの

部分原価

  • 全記のうち一部分のみを集計したもの(変動原価を指すことが多い)

財務目的で用いられる原価計算では、全部原価の全部の製造原価を原価範囲に設定します。

 

個別原価計算と総合原価計算

簿記一級講座製品別計算

製品別計算は,経営における生産形態の種類別に対応して,これを次のような類型に区分する。

  1. 単純総合原価計算
  2. 等級別総合原価計算
  3. 組別総合原価計算
  4. 個別原価計算

出典:原価計算基準 第二章 二〇 製品別計算の形態

つまり、原価計算基準において定められている製品別計算は大別すると、

  • 総合原価計算制度
  • 個別原価計算制度

の2つに分類されます。

総合原価計算

総合原価計算は、あらかじめ定められた工程に沿って大量に製品を製造する場合に適しています。

総合原価計算は、

  • 同じ種類の製品を反復連続的に生産する単純総合原価計算
  • 同じ工程で、同じ種類の製品を連続して等級の異なる製品を生産する等級別原価計算
  • 種類の異なる製品を組み別に連続生産する組別総合原価計算

の3つに区分することが出来ます。

どら焼きを製造する食品工場で簡単に説明すると、

  • 普通サイズのこし餡のどら焼きだけを製造する工場では、単純総合原価計算
  • 大・中・小のサイズの異なるこし餡のどら焼きを製造する工場では等級別原価計算
  • 粒あん、こし餡のどら焼きを製造する工場では組別原価計算

のようなイメージです。

個別原価計算

個別原価計算では、オーダーメイドやハンドメイドなど、一品物の製品に適した原価計算です。

個別に関係する原価を集計し、原価を計算します。

 

原価計算の基本

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